研究内容の紹介:(木質構造学研究室)
2025年9月18日(木)【研究紹介】
「奈良県宇陀市宇陀松山地区での耐震補強ワークショップ」
宇陀市松山伝統的建造物群保存地区(松山地区)は木造の町家が通り沿いに連担し、城下町から商家町へと発展した歴史的風致を維持している地区です。これらの良好な町並みの保存を目的に平成16年に「大宇陀町伝統的建造物群保存地区保存条例」が制定され、平成18年に国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に選定されました。
古い町並みを残す建物群は現行の耐震基準を満足しない建物が多いのですが、どのような耐震対策を行えばよいか不明な点も多く、コスト面での負担も多いことから、耐震対策があまり進んでいません。一方で、2024年に発生した能登半島地震では、伝建地区の黒島地区でも倒壊する建物事例が発生しており、古い民家の耐震対策は急務です。
そこで、これまでに宇陀市、大阪工業大学、大阪公立大学、奈良女子大学で連携しながら松山地区の民家の耐震対策について検討を進めてきました。今回は、その成果の一部として、大阪公立大学石山研究室で開発された斜め格子壁を耐震補強として採用することになり、その製作をワークショップ形式で実施しました。
地元の木材を使用した、意匠性と耐震性の両立を目指した格子壁です。大工さんのご指導のもと、学生でも施工できる構法になっています。今回はワークショップのご紹介でしたが、これからも、耐震対策に関する取り組みや研究を続けていきたいと思っています。