研究内容の紹介(住居管理学研究室)
2023年11月23日(木)【研究紹介】
住居管理学研究室(藤平研究室)の研究内容を紹介します。
生活の場である住宅や建築物の耐久性および耐久性向上について、材料および管理の面から研究を行っています。
◯材料面からのアプローチ
・木造住宅の床下や土間付近、小屋裏などは木部が傷みやすい箇所です。それらの箇所の温湿度を測定し、木部の生物劣化の可能性を検討しました。実測データから、湿性カビの生育範囲に入る割合を求め、年間の変化を見ました。床下や土間付近は、梅雨から夏期、初秋期にかけて温度、相対湿度とも高くなり、湿性カビが生育しやすいことがわかりました。この時期に木部を乾燥させるような管理が必要です。
◯維持管理面からのアプローチ
・材料の特性を活かして、使用環境に応じた維持管理・維持保全のあり方を検討しています。住宅建設に関わる工務店を対象として、木造住宅の維持保全計画における地域性の考慮について調べました。地域の気候や地域特有の劣化要因が考慮されています。一方で、地域性を考慮する積極的な姿勢が見られない例もありました。
・伝統的な木造住宅の継承について、住まいの管理のあり方から検討しています。伝統的木造住宅の居住者へのヒアリングから維持管理の履歴を調べました。居住者が継続的に日頃の手入れを行い、建物が長く使えるように心がけて補修・改修を行い、部材の劣化を遅らせ、居住の継続性が保たれていることがわかりました。
・住まいの管理の変遷について、婦人雑誌掲載記事から検討を進めています。1946年から2021年に発刊された婦人雑誌『婦人之友』を対象資料として、各号を閲覧し、住まいや住生活、家計や家事に関する記事1793件を抽出し、住まいの管理に関する内容や当時の取り組みなどを把握しました。
◯木材・木質居住環境について、物性的な性能評価とともに、ヒトの感性評価を通じて、その魅力の解析に取り組んでいます。
・サンプルを用いた印象評価試験を行いました。被験者は試料前に座り、試料表面を見て、表面を触り、匂いを嗅いで評価しました。スギは各評価項目とも"どちらでもない"と評価される傾向がみられるものの、やや高級な、自然な、あたたかい、つるつるした、つやのある、と評価されました。ヒノキはやや明るい、あたたかい、つるつるした、好きな、使ってみたいと評価されました。
・広葉樹材の利用に関する調査、広葉樹材の感性評価
卒業研究で検討中です。